相原求一朗 《自転車のある風景》
最終更新日:2015年1月3日
1973年(昭和48)
キャンバス、油彩 162.0cm×162.0cm
正方形の大きな画面の3分の2は石畳。広場のような空間が広がり、画面上部には歴史を感じさせる街並みが描き出され、その真中、ひときわ印象的な白い建物の脇に、ぽつりと1台の自転車が配されている。この自転車がなければ、この作品は造形上、平凡なまとまりのないものになる。また、この自転車が人と町を結ぶストーリーの導入役を果たしているように思える。全体として粗いタッチで描かれているが、広場、建物、空ごとに表現方法を変え、対象をいかに感じたとおり画面上に表すか、画家の工夫を感じ取ることができる。
相原求一朗は、主に北海道の風景を描き続けた洋画家であるが北フランスを中心にヨーロッパにも取材した作品を残している。この「自転車のある風景」もそのひとつであり、異国風景に心をひきつけられた画家の創作意欲がかいま見られる。
