平成24年4月から25年3月まで、毎月10日号の広報川越にて掲載した、こころの健康に関するコラム記事です。(6月、12月はコラムの掲載がありません)
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4月10日号「こころ元気ですか?」 |
日ごろから、自分の「こころ」の状態に注意を向けることは、心の病気の予防や改善につながります。 このコラムでは、心の病気についての理解を深め、病気とうまく付き合うための情報をお伝えしていきます。 ストレスとうまく付き合う 最近、こころの病気の相談の際に、ストレスを訴える方が増えています。ストレスとは、外部からの刺激や重圧で心身に生じた、ひずみやゆがみなどの変化をいいます。人はストレスを感じると、イライラ、不安、頭痛、不眠、過食、深酒など心や体、行動にさまざまな変調が起こります。ストレスへの対応は、この変調に早く「気づくこと」 が最も重要です。 ストレスの原因がすぐに解決できないときは、自分に合った気分転換や発散をし、疲れを感じたら、休養を取り生活リズムを整えることが必要です。また、「白黒はっきりさせたい」「一つの問題に固執する」などと考えがちな人は、考え方を変えるだけで心への負担が軽くなります。 一方でストレスには、人を成長させてくれる側面もあります。「ストレスは人生のスパイス」「ピンチはチャンス」という言葉もあります。マイナス面ばかり意識せず、ストレスとうまく付き合うことが大切です。 |
5月10日号「うつ病について」 |
最近「学校や会社に行きたくない」「なんだかやる気が出ない」という自覚はありませんか。それは、生活や職場が変わったことによる「うつ病」かもしれません。 この病気は「気の持ちよう」「弱さ」が原因ではありません。人間関係、環境の変化や体調不良など、何らかのストレスにより脳のエネルギーが不足し、機能障害が起こるためだといわれています。誰もがかかる可能性があり、日本人の10から15人に1人が、一生に一度は経験する病気といわれています。 主な症状は「眠れない」「気分が重く沈む」「何をやっても楽しくない」などです。これらの症状が、2週間以上続いたら、早めに医療機関を受診しましょう。 また、うつ病は、周囲の人の早い気付きが大切です。本人が頑張ってしまうため、普段の状態と変わらないように見えても、仕事でミスが増える、口数が減る、ぼんやりすることが増えたなどの症状に気付いたら、医療機関などへの相談を勧めてください。 保健予防課では、治療や家族の対応など、本人や家族のうつ病に関する相談に応じています。ご利用ください。 |
7月10日号「統合失調症について」 |
統合失調症は、約100人に1人が発症する、誰もがかかる可能性がある病気です。症状は、人によってさまざまで、病気の経過によっても異なりますが、考えがまとまらなくなる、幻覚・幻聴などの状態が続く、意欲がなくなるなどがあります。これらの症状は服薬治療やリハビリなどで抑えることができるので、早期治療が大切です。 次のような、いつもと違う症状が続くときは、早めに医療機関などに相談してください。 - 眠れない日が1週間以上続く
- 原因もなくイライラする
- 落ち着かなくなる など
保健予防課では統合失調症の方や家族を支援するために、相談を行っています。また、次の支援制度などがあります。詳しくは、お尋ねください。 ソーシャルクラブ…グループ活動を通し、社会復帰を目指します 精神保健福祉家族教室・統合失調症家族の集い…家族の方が、病気の知識や対応の仕方、社会保障制度などを学んだり、病気に関するさまざまなことを話し合ったりする場です 自立支援医療(精神通院)制度…精神科通院の医療費の自己負担額が原則1割になります 精神障害者保健福祉手帳…税制上の優遇措置や、公共施設等の利用料の減免などが受けられます
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8月10日号「アルコール依存症について」 |
暑い日が続き、お酒でのどを潤す機会も多い季節。適度な飲酒は、心身をリラックスさせ、人とのコミュニケーションを円滑にするなどの効果があります。しかしながら、過度の飲酒は、肝機能障害や循環器系疾患、糖尿病などの生活習慣病の要因となるだけでなく、アルコール依存症を引き起こすこともあります。 お酒は、依存性のある物質「アルコール」を含む飲み物です。飲酒を繰り返していると、飲み方などによっては、次第にお酒を飲まずにはいられなくなってしまいます。アルコール依存症になると、次第に飲酒量が増え、食事もとらず常に飲酒を続けるといった状態になります。結果、肝臓を悪くするだけでなく、さまざまな病気のリスクが高まります。 アルコール依存症は病気です。お酒をやめられないのは意志が弱いからではなく、自分でコントロールして飲むことができなくなるからです。この病気の治療には、断酒が必要です。しかし、断酒中にお酒を少しでも飲むと、すぐ元の状態に戻ってしまいます。周囲の人の協力はもちろんのこと、病院や保健所などに早めに相談することが大切です。 保健予防課では、アルコール依存症に関する相談に応じています。詳しくは、お尋ねください。 |
9月10日号「自殺予防週間」 |
全国で年間約3万人の方が、みずから命を絶っています。自殺の背景には、多重債務、過重労働、人間関係の悩み、介護・育児疲れ、心の病などさまざまな要因が複雑に絡み合っています。自殺を予防するには、個人の問題としてだけでなく、社会全体での取り組みが必要です。そこで国は、予防対策推進のために9月10日からの1週間を「自殺予防週間と定めました。 自殺を予防し減らしていくために、普段から出来ることがあります。 - 気づき
眠れない、食欲がない、数が減った等、いつもと違う様子の時、さりげなく声をかけてみてください - 傾聴
相手の話を、批判や否定をせず、じっくり聴いてあげてください。問題を一人で抱え込まず、支え合うことが大切です - つなぎ
専門機関への相談が必要な場合は、利用を勧めてください。「つなぎ方」や相談窓口が分らないなど、お困りの方は保健予防課に相談してください
悩んでいる方が発するサインに気づいて、手を差し伸べることが大切です。大事な人を自殺から守るためにも「気づき・傾聴・つなぎ」を心がけ、周りで支え合える環境づくりをしましょう。 |
10月10日号「働く人のこころ」 |
厳しい経済状況の中、人員削減などから過重労働となり体に不調をきたしたり、仕事への強い不安・悩み・ストレスを感じたりしている人が増え、働く人の心と体のケアの必要性が高まっています。 市では、市内の事業所の産業保健担当者や人事労務担当者を対象に「地域・職域保健事業連絡会議」を実施しています。この会議では、職場のメンタルヘルス対策に関する研修や情報交換、意見交換を通じ、働く人の心のケアや、早期発見と早期対応について検討しています。 働く人は、処理しきれない仕事を抱えたり、負担を感じたときに、1人で抱え込まないようにすることが大切です。誰かに自分の思いを聞いてもらうことで気持ちが楽になることがあります。また、仕事を手伝う・分担して取り組む、期限や期日を延ばすなどの方策が見い出せるかもしれません。 雇用関係者は、働く人の体調やストレス、心の状態に気を配ってあげてください。困難な問題や課題には、1人ではなく皆で取り組めるようにしていきましょう。 保健予防課では、心の不調について随時相談を受け付けています。詳しくは、お尋ねください。 |
11月10日号「こころの病の病院」 |
こころの病が新聞やテレビなどで取り上げられることが増えるにつれ、精神科などの診療科がより身近になってきています。一方で、精神科・心療内科・神経内科などいろいろな科目があり、どの診療科を受診したらよいのか困っている方もいるのではないでしょうか。そこで、それぞれの診療科の特徴について簡単に説明します。 - 精神科
不安・うつ・不眠・イライラ・幻聴などのこころの病やその症状、つまり、精神疾患を専門に扱う科です。精神神経科と表示されている所もあります。 - 心療内科
精神的な問題がもとで体に症状をきたす病気を扱う科です。精神科だと受診しにくい方もいるため、心療内科と表示されていても、実際は精神科ということもあります。 - 神経内科
脳・脊髄・神経・筋肉の病気をみる内科です。しびれやめまい、歩きにくい、ふらつく、頭痛、手足や体が勝手に動くなどの症状を扱う科です。
保健予防課では、こころの病の医療機関について案内を行うほか、保健医療マップを作成し、同課や障害者福祉課(本庁舎1階)などで配布しています。詳しくは、お尋ねください。 |
1月10日号「こころの病と家族」 |
こころの病に悩む人にとって、家族は療養の支えとなる大切な存在です。それ故、家族自身もまたストレスを抱えやすいので、次のことを心掛けましょう。 - 責めずに、見守る
こころの病は、症状に波があり、療養が長くかかる場合があります。なかなか病状が好転しないと、心配が募りイライラしてしまうことも。けれど、一番辛いのは病に悩む本人です。また、家族が症状に一喜一憂することは本人の混乱を招きます。ゆっくりと温かく見守りましょう。 - リフレッシュする
趣味や楽しみに没頭する時間も大事にしてください。家族のこころの健康は、本人の回復の助けになります。 - 社会資源を活用する
医療機関、相談機関などの活用をおすすめします。病状について知りたいときには、診察に同席することも必要です。家族会に参加したり、家族の体験談を聞くなど、他の家族の意見も大変参考になります。
保健予防課では、家族の対応の仕方や、社会資源の活用について相談を受けています。また、統合失調症やひきこもりに悩む家族へ家族教室や家族の集いなども実施しています。詳しくは、お尋ねください。 |
2月10日号「ひきこもるこころ」 |
最近、「ひきこもり」という言葉を耳にする機会が増え、関心を集めるようになりました。「ひきこもり」とは、さまざまな要因で就学、就労、家庭外での交遊などの社会的参加を回避し、おおむね6か月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態とされています。外出していても、他者と交流がない状態も含まれます。 もし自分の周りに、ひきこもりに悩む人がいる場合、どう対応したら良いのでしょうか? - 温かく見守る
ひきこもりの状態が続くと、周りの家族はとても心配になり、家族自身や本人を責めてしまうこともあります。ひきこもりの理由や原因は明確でないことが多く、本人も苦しんでいます。このため、責めても解決にはつながりません。また、心配し過ぎると、かえって本人に負担感を与えてしまいます。 - ひとりで悩まず相談する
保健予防課では、ひきこもりに悩む方の相談を受け付けています。他にも、家族同士の分かち合いや対応方法を学ぶために、定期的に親の会を実施しています。また、ひきこもりに関心のある方を対象に、公開講座を開催しています。日程など詳しくはお尋ねください。
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3月10日号「こころの疲労度チェック」 |
最近1か月の状態でチェックしましょう。 □気分が沈んでゆううつだ □朝、気持ちよく起きられない □何に対しても興味が持てない、勉強・家事・仕事が手につかない、やる気が出ない □寝つきが悪い、眠りが浅い □体がだるい、なかなか疲れが取れない □なんとなく不安でそわそわする □食欲がない □肩がよくこる・腰がよくはる、頭が重い □自分が役に立つ人間だとは思えない □集中したり決断したりすることが難しい □毎日、充実感がない □人に元気がないと言われる □知っている人のいない場所に行きたい、消えてしまいたい、いなくなりたい □お酒の量が増えた (埼玉医科大学総合医療センター教授・堀川直史さん監修) 上は、現在のストレスの程度に気づくための、大まかなチェック項目です。該当する項目が多いほど、こころが疲れ、危険信号を発しています。「あれ、いつもと違うな」と感じたら、一人で抱え込まずに相談しましょう。 大切なのは、早めに気づくことです。保健予防課では、こころの健康に関する相談に応じています。詳しくはお尋ねください。 |