条例提案の背景・経過と条例の特徴
最終更新日:2015年1月3日
川越市路上喫煙の防止に関する条例
条例提案の背景・経過と条例の特徴
1.条例提案の背景・経過
市では、昭和58年から、クリーン川越市民運動推進協議会が主催する「クリーン川越市民運動(ごみゼロ運動)」を展開し、快適な環境をつくる市民運動を推進してきました。しかし、大量生産・大量消費・大量廃棄という社会システムの弊害により、ごみのポイ捨てや不法投棄は後を絶ちませんでした。
そこで、環境美化に対する市民意識の高揚を図るため、平成13年度より、公共空間である公園、道路、河川等の公共施設の美化及び保全等のため「アダプトプログラム」を小・中学校を中心に実施し、さらに、平成16年度からは、小・中学校以外の団体が自らの意思で行う清掃活動を支援する「地域環境美化活動支援制度」を実施してきました。
しかし、これらの施策によっても、吸い殻等の散乱が減ることはなく、さらには、歩きながらの喫煙による火傷の危険や副流煙による健康被害まで社会問題化してきました。
これらの状況の改善を図るため、千代田区などが散乱ごみ対策の一環として実施して成果を上げている路上での喫煙を禁止する条例を施行することにより、市民等の身体、財産への被害を未然に防止し、吸い殻の散乱をなくして、安心・安全で清潔なまち、すなわち良好な生活環境を確保しようとするものです。
また、たばこの吸い殻が散乱していない清潔なまちをつくることにより、飲料容器など他のごみも捨てさせない環境を醸成していこうとするものです。
2.条例の特徴
1.目的について(第1条関係)
直接の目的は、市民等の身体及び財産の安全の確保並びにたばこの吸い殻の散乱の防止を図ることです。
道路や公園・広場などでの喫煙は、吸い殻のポイ捨てにより環境の美化を損ねているだけでなく、たばこを持つ手が子どもたちや車椅子を使用している人の顔の高さと同じ位置になるため火傷の危険があり、衣服を焦がされる可能性もあります。
また、火の付いたたばこの投げ捨てによる火災の危険性、さらには、副流煙による周囲の人たちへの健康被害の問題もあります。
これらのことから、本条例を施行して路上での喫煙を規制することにより、市民等の身体及び財産への被害を防止して、安心して歩けるまちにするとともに、吸い殻のポイ捨てを防止して、川越の歴史的景観を守っていくことを目的としています。
2.路上で喫煙を制限・禁止することについて(第5条,第7条関係)
歩きながらの喫煙を規制するのではなく、路上での喫煙を規制します。
喫煙の規制に関する条例を制定している自治体の中には、歩行喫煙のみを禁止する条例を制定している自治体もあります。しかし、喫煙している方自らが歩行中かどうかの判断ができない場合があることや、たとえ立ち止まっての喫煙であっても、人通りの多い場所では、たばこの火が他人に危害を及ぼす状況もあること、さらに、副流煙の問題も発生することから、川越市では、歩行喫煙のみを禁止するのではなく、路上での喫煙を制限・禁止するものです。
したがいまして、市内全域の‘道路、公園その他の屋外の公共の用に供する場所’では、喫煙をしないよう努めなければならないという努力義務を規定し、路上喫煙禁止地区では、路上喫煙をしてはならないという禁止事項を規定しています。
3.路上喫煙禁止地区について(第6条関係)
路上喫煙禁止地区は、実態調査をもとに、駅周辺や商店街などで、通行量が多く喫煙行為が通行人に危険や迷惑を及ぼす場所を指定します。
路上喫煙禁止地区は、平成18年6月に実施した、通行人や散乱ごみ等の実態調査をもとに、中心市街地の駅周辺や商店街などのうち、通行量が多く喫煙による人への火傷や副流煙の被害が想定される場所について指定します。
なお、条例施行にあわせて指定する路上喫煙禁止地区については、昼夜間を問わず喫煙を禁止することが必要と判断された場所ですので、終日禁煙とします。
4.罰則規定について(第9条関係)
路上喫煙禁止地区で路上喫煙した場合、1万円以下の過料を科します。
<罰則を罰金でなく過料にした理由>
地方公共団体は、地方自治法第14条第3項の規定により、条例違反者に対して、懲役や罰金、科料などの刑罰と、いわゆる秩序罰としての過料を科すことができます。(同法の過料の上限は、5万円以下と規定されています。)
過料とは、行政上の秩序を維持するために行政法規の違反の程度が軽微で反社会的行為に至らない場合に科すもので、いわゆる秩序罰といわれるものです。
本条例の規制する行為は、‘禁止地区での喫煙’であり、この行為に対して科す量刑としては、前科が付く刑罰は厳しすぎると考えます。
また、罰金を科すには、刑事訴訟法の定めによる手続きが必要になり、その決定は、裁判所の判決によることとなります。
しかし、秩序罰である過料は、市職員によりその場で科すことができるため迅速に適用することが可能です。
以上の量刑及び手続きなどから、罰則は、罰金ではなく過料とするものです。
<過料の金額の理由>
条例違反者に対する過料の金額については、軽犯罪法における科料が、1万円未満となっており、喫煙行為そのものが軽犯罪法に規定されている犯罪行為を超えた行為とは考えにくいこと、また、路上喫煙防止の条例を制定し、罰則を規定している近隣市の状況を考慮して、1万円以下とします。
なお、実際の徴収額につきましては、規則で規定しますが、近隣市の状況を考慮して決定します。
語句の定義について
●「路上喫煙」
路上喫煙とは、‘道路、公園その他の屋外の公共の用に供する場所’において、歩行中だけでなく立ち止まってたばこを吸うことや火の付いたたばこを持つことをいいます。しかし、たばこをくわえていても、火が付いていなければこれに該当しません。
※ 路上喫煙には、自転車やバイク乗車中の喫煙も含まれます。ただし、自動車乗車中の喫煙の場合は、遮られた空間であるため、規制の対象外となります。
●「道路、公園その他の屋外の公共の用に供する場所」
道路とは車や人が通行する道をいい、公園とは公共施設として設けられたもので、都市公園、児童遊園、ポケットパーク、緑道、市民の森をいいます。また、その他の屋外の公共の用に供する場所とは、一般に開放され、不特定多数の人が自由に利用し又は出入りできる場所のことをいい、広場や河川などがこれにあたります。
なお、屋外の公共の用に供する場所には、行政が所有・管理している場所だけではなく、私有の場所も含まれます。
また、屋外としているのは、屋内の公共の用に供する場所(公共施設の建物の中)については、健康増進法に管理者の受動喫煙の防止義務が規定されていることから除いたものです。
※駐車場・駐輪場は、車や自転車を駐車・駐輪する目的以外には出入りしないため、不特定多数の人が自由に利用し又は出入りできる場所ではありません。したがって、屋外の公共の用に供する場所にはあたりません。
●「市民等」
市民等とは、市内に居住し、若しくは滞在し、又は市内を通過する者をいいます。したがって、市内に居住していない観光旅行者も含まれ、川越市内にいるすべての人をいいます。(日本国籍の有無も関係しません。)
3.まとめ
平成18年2月25日から同年3月17日まで実施しました「路上喫煙規制などに関するアンケート」で多かった意見は、「路上での喫煙を規制すべきである。」「罰則で路上喫煙を規制すべきである。」「喫煙マナーの向上を図るべきである。」「喫煙所を設置すべきである。」という意見でした。
(詳細は、『「路上喫煙規制などに関するアンケート」の自由意見に対する市の考え方』を下記からクリックしてご覧ください。)
川越市では、これらの声を反映させるため、喫煙場所を確保したうえで、罰則を規定した条例を制定して、喫煙マナーの向上を図っていくこととしたものです。
したがいまして、本条例は、罰則の適用(過料の徴収)が目的ではありません。 喫煙マナーやモラルの向上を第一義的な目標とし、路上喫煙を防止する総合的な施策として展開する清掃活動の支援制度や多くの啓発事業を通じて、市民や観光客の方々に、より一層川越の町並みに愛着をもっていただき、歴史的遺産や河川・田園等の自然景観を後世に伝えていこうとするものです。
関連情報
「路上喫煙規制などに関するアンケート」の自由意見に対する市の考え方
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