ウエルシュ菌
最終更新日:2017年9月25日
ウエルシュ菌食中毒の特徴
ウエルシュ菌は、芽胞を形成する嫌気性の細菌で、ヒトや動物の腸管内、土壌、下水、食品又は塵埃等自然界に広く分布しています。
これによる食中毒は世界各国で発生しており、米国やEUでは主要な食品媒介感染症の一つとして認識されています。
我が国でも1件当たりの患者数が最も多い食中毒として認識されており、ほかの細菌性食中毒と同様夏季(7~9月)に多発していますが、春季(3~4月)での発生も比較的多く、冬季(12~1月)での発生もみられるのが特徴です。
また、ウエルシュ菌の産生する毒素(エンテロトキシン)は熱に弱く、加熱(60℃10分)で容易に不活化されます。
原因(媒介)食品
ウエルシュ菌食中毒の原因食品としては、カレー、シチュー、およびパーティー・旅館での複合調理食品によるものが多く、特に食肉、魚介類および野菜類を使用した煮物や大量調理食品で多くみられます。これらの食品中で、
1 加熱調理により共存細菌の多くは死滅するが熱抵抗性の高いタイプの芽胞(耐熱性芽胞)のみが残存すること
2 加熱により芽胞の発芽が促進されること
3 加熱により食品内に含まれる酸素が追い出されること
4 緩慢に冷却すると急速に増殖すること
これらの過程を経ることで菌が増殖します。
原因施設としては、飲食店、仕出屋および旅館など大量に調理する施設で多くみられ、家庭での発生は他の食中毒に比べて少ないことが特徴です。
症状
6~18時間(平均10時間)の潜伏期間の後、主に腹痛と下痢等の症状を起こしますが、発熱や嘔吐はほとんどみられません。ほとんどの場合、発症後1~2日で回復するとされていますが、基礎疾患のある患者、特に子供や高齢者ではまれに重症化することが知られています。
予防方法
耐熱性芽胞は100℃で1~6時間の加熱に耐えると考えられています。したがって、通常の加熱調理では食品中のウエルシュ菌芽胞を死滅させることはできないと考えられます。
ウエルシュ菌は自然界の常在菌であるため、食品への汚染を根絶することは不可能ですが、発症には多くの菌量が必要とされているため、
1 加熱殺菌(再加熱(温め直しなど)で発芽細菌を殺菌する、毒素を不活化する)
2 増殖阻止(調理後速やかに喫食する、小分けと10℃以下又は55℃以上の温度で保存する)
これらが予防のための最も有効な手段となります。
関連情報
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