旧栄養食配給所
名称 |
旧栄養食配給所 |
よみ |
きゅうえいようしょくはいきゅうじょ |
種別 |
市指定有形文化財 建造物 |
員数 |
1棟 |
所在地 |
松江町2-12-4 |
指定年月日 |
平成17年3月29日 |
所有者 |
川越市 |
文化財の概要 |
昭和初頭の川越において、織物や生糸関係の工場で働く労働者が増加し、その労働者への食糧供給を行うために栄養食配給所が建設された。当建物は、昭和9年(1934)に開業され、昭和20年(1945)まで営業していた旧栄養食配給所で、当時の姿を残した貴重な建築遺構である。 敷地は、南北に細長く、南を立門前(たつもんぜん)通りに接道し、北は旧織物市場に面している。建物は、大きく分けて南から住まい、事務所、作業場の三部分で構成され、旧織物市場へ向かう通路に面して並んでいるが、事務所のある棟を中心にして南北の棟が数回にわたり増改築されている。 北端部にある作業所は、昭和9年の栄養食配給所が開業する際に建てられ、室内にカマドを設けているので、換気用に中心部を越屋根とした寄棟造鉄板平葺屋根の外観が特徴的である。昭和14年には、カマドを1基増設するために、別棟だった事務所との間に増改築している。 事務所の建物は、明治43年(1910)に織物市場が開設された当時の建物を基本として改造されたものである。切妻造桟瓦葺の木造2階建で、昭和14年に行われた作業所の増改築工事に伴い、波形鉄板葺の庇を延ばして前室を設け、栄養食配給所の看板を掲げている。 事務所は栄養食配給所が戦後廃止された後、住居として使用されたので、大幅に改造されていたが、織物市場当時の住居から栄養食配給所の事務所へと変化した時代を経て建ち続けた痕跡を残す遺構として貴重である。 住まいは、昭和14年に家族の住まいとして増築されたもので、既存の事務所と同じ切妻造桟瓦葺木造2階建の建物である。 以上のように、本建物は昭和初期に全国的に設立された栄養食配給所の歴史を伝える遺構として全国的にも稀少な例であり、文化的にも極めて意義のある近代化遺産といえる。 |